ぬるめの湯を探すときに見る温度の区分を環境省の「鉱泉分析法指針」で確かめ、青森県内で湯の温度を公表している温泉を、施設の公式サイト、黒石観光協会、青森県の観光サイト「Amazing AOMORI」で調べました。
湯の感じ方は人によって違うため、施設や資料が公表している温度と説明の言葉だけを書き、人気や評判は扱っていません。
「低温泉」は浴槽のぬるい湯のことではない
鉱泉分析法指針は、鉱泉が地上に湧き出したとき、または採取したときの温度を「泉温」と呼び、次の4つに分けています。
| 区分 | 泉温 |
|---|---|
| 冷鉱泉 | 25℃未満 |
| 低温泉 | 25℃以上34℃未満 |
| 温泉 | 34℃以上42℃未満 |
| 高温泉 | 42℃以上 |
泉温は湧き出したときや採取したときの温度で、浴槽の湯の温度の区分ではありません。
泉温が34℃以上42℃未満の湯は「温泉」の区分にあたり、「低温泉」と呼ぶのは25℃以上34℃未満です。
泉質名の「高温泉」「温泉」などの語は泉温の区分を表すもので、浴槽でどのくらいの温度になっているかは、施設の案内で確かめる必要があります。
青森県の源泉の温度
環境省の「令和6年度温泉利用状況」(令和7年3月末現在)では、青森県の源泉は1,089で、温度別の源泉数は25度未満が35、25度以上42度未満が242、42度以上が670です。
温度別の源泉数の合計(947)は源泉の総数と一致しません。
温度別に数えられた源泉では42度以上が最も多く、湧き出したときの温度が高い源泉が多いことが分かります。
谷地温泉の38℃の下の湯
十和田市の谷地温泉の公式サイトは、湯舟ごとに下の湯38℃、上の湯42℃と書いています。
男女それぞれの浴場に「上の湯」と「下の湯」の湯舟があり、公式サイトは足下自噴(浴槽の底から直接自噴する)の源泉かけ流しと案内しています。
| 湯舟 | 公式サイトの説明 | 泉温 | 泉質 |
|---|---|---|---|
| 下の湯 | 足下から湧き出る38℃の温めの温泉、無色透明 | 38度 | 単純硫黄温泉「硫化水素型」(低張性弱酸性温泉) |
| 上の湯 | 硫黄の湯花で白濁した42℃の温泉で、熱湯と呼ばれる | 42度 | 単純温泉(低張性弱酸性低温泉) |
下の湯の泉温38度は、鉱泉分析法指針の区分では「温泉」(34℃以上42℃未満)にあたります。
同じ浴場に、公式サイトが熱湯と呼ぶ42℃の上の湯もあります。
上の湯の泉質名には「低温泉」と付いていますが、泉温42度は鉱泉分析法指針の区分では「高温泉」(42℃以上)にあたり、公式サイトの表記と区分が合いません。
日帰り入浴は10:00〜15:00(最終受付14:30)で、入浴料金は大人(中学生以上)800円、子供450円、幼児(未就学児)無料です。
11月1日から4月末日までの冬季期間は火・水・木曜日が休館で、公式サイトのお知らせ(2026年3月10日)では通常は毎月第三火曜日が休館日とされ、不定期の臨時休館は営業日カレンダーと公式サイトで知らせています。
山奥のため携帯電話は圏外で、無料Wi-Fiはフロント、ロビー、レストランの一部で使えます。
公式サイトは、八甲田山麓で開湯四百年以上とし、宿の周辺には高山植物が自生する谷地湿原が広がり、積雪は5メートルになると書いています。
食事処「ぶなしずく」があり、公式サイトは岩魚料理を名物としています。
宿泊する場合、客室のトイレ・洗面所は共同で、東館の「源氏の間」だけは客室に洗面所とお手洗いがあります。
名前や印象で湯の温度を決めない
温湯温泉の「温湯」
黒石市の温湯温泉は、黒石観光協会の案内では源泉温度52℃で、泉質はナトリウム-塩化物泉-硫酸塩泉(低張性弱アルカリ性高温泉)とされ、「熱湯タイプで湯冷めがしにくい成分」と紹介されています。
Amazing AOMORI は、1624年に花山院忠長が入湯し、温もりが長く保たれる特性から「温湯」と名付けられたと紹介しています。
「温湯」の名前は、湯の温度が低いことを表すものではありません。
浅虫温泉
Amazing AOMORI の浅虫温泉の特集は、浅虫温泉のお湯を無色透明で「熱めのお湯で刺激がないのが特長」と紹介しています。
浅虫温泉のホテル秋田屋が公表している泉温は59.8度(外気により変動あり)です。
酸ヶ湯温泉の「熱の湯」と「四分六分の湯」
酸ヶ湯温泉のヒバ千人風呂には、熱の湯・冷の湯・四分六分の湯・湯滝など4つの異なる源泉があります。
公式サイトは「四分六分の湯」について、熱の湯(もとは熱湯)より熱く感じるが温もりの持続が短いことから名付けられたと説明しています。
Amazing AOMORI は酸ヶ湯温泉の泉温を52.3度としていますが、この記事では、それぞれの浴槽の湯の温度は確かめていません。
Amazing AOMORI は、酸ヶ湯温泉は強酸性泉(pH1.5〜2.0)を含み、肌や粘膜への刺激が強い泉質と案内しています。
ぬるめの湯でも守りたい入浴の注意
環境省の「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」は、高齢者や高血圧・心臓病・脳卒中の経験のある方は42℃以上の高温浴を避け、心肺機能の弱った方は半身浴・部分浴が望ましいとしています。
同じ資料は、温度や入り方に注意する方の入浴時間を、なれるまでは3〜10分くらいを1〜2回、なれてきたら15〜20分くらいを2〜3回と案内しています。
同じ資料が挙げる入浴の注意には、次のものがあります。
- 食事の直前・直後や飲酒後の入浴は控える
- 高齢者・子ども・身体の不自由な方は1人きりでの入浴を避ける
- 入浴前・後の水分補給を忘れない
- 過度の疲労時や運動後30分間は入浴を控える
- 入浴前には手足からはじめて全身にかけ湯をし、身体を洗ってから入る
- 浴槽にタオルを入れない
同じ資料は、身体についた温泉成分は洗い流さずタオルでふきとるとしたうえで、刺激の強い泉質(たとえば酸性泉や硫黄泉)の場合、肌の弱い方は温水などで洗い流すよう案内しています。
同じ資料の禁忌症では、酸性泉・硫黄泉は、皮膚または粘膜の敏感な人と高齢者の皮膚乾燥症の人は入ってはいけないとしています。
同じ資料は、禁忌症にあたる場合でも、専門的知識をもつ医師の指導で温泉療養を行える場合もあると書いています。
温泉療養を始めておおむね3日〜1週間前後に湯あたりの症状が現れることがあり、その間は入浴を中止するか回数を減らすよう、同じ資料は書いています。
出かける前に確かめること
- 湯の温度:泉質名の「高温泉」「温泉」は湧き出したときの温度の区分なので、浴槽の温度は施設の案内で確かめる
- 谷地温泉の休館日:冬季期間(11月1日〜4月末日)の火・水・木曜日、通常の毎月第三火曜日、臨時休館を、公式サイトの営業日カレンダーとお知らせで確かめる
- 連絡の手段:谷地温泉は携帯電話が圏外で、無料Wi-Fiはフロント、ロビー、レストランの一部で使える
泉温・液性・浸透圧の区分や泉質ごとに定められた適応症は泉質名の読み方をまとめた記事で、宿ごとの浴場は宿の種類ごとの浴場の一覧で紹介しています。
注記:泉温の区分は環境省の鉱泉分析法指針(平成26年改訂)、源泉の数は令和6年度温泉利用状況(令和7年3月末現在)、入浴の注意と禁忌症はあんしん・あんぜんな温泉利用のいろは(平成31年3月)、谷地温泉の湯・日帰り入浴・休館日・館内の設備は谷地温泉の公式サイト(温泉/日帰り、お知らせ、よくある質問、客室、トップページ)、温湯温泉は黒石観光協会と Amazing AOMORI、浅虫温泉は Amazing AOMORI とホテル秋田屋の公式サイト、酸ヶ湯温泉は酸ヶ湯温泉の公式サイトと Amazing AOMORI によるもので、2026年10月20日に確かめました。料金や休館日は変わることがあるので、出かける前に各施設の案内を確かめてください。



