青森県立美術館で何を見られるのかを、シャガールのバレエ「アレコ」の背景画が並ぶアレコホール、奈良美智の《あおもり犬》と《Miss Forest / 森の子》、棟方志功の板画、成田亨の怪獣と宇宙人のデザインといった収蔵作品と、2026年秋から冬の展示に分けて、美術館の公式サイトで2026年10月20日に確かめた内容で紹介します。開館時間や観覧料、行き方は美術館の時間・料金・行き方の案内にまとめています。
コレクション展の仕組みと主な収蔵作家
青森県立美術館は「地域と風土に密着した芸術を重視するとともに、豊かな感性を養い、未来の創造に資することのできるような美術資料の収集を行う」という理念のもとで作品を集めています。
収蔵作品は常設展示室の「コレクション展」で公開され、1年間を4期の会期に分け、会期ごとにテーマを設けて作品を選んで展示します。
主な収蔵作家は、郷土の作家では棟方志功、関野凖一郎、斎藤義重、小野忠弘、阿部合成、工藤甲人、工藤哲巳、寺山修司、成田亨、奈良美智など、海外の作家ではシャガール、カンディンスキー、クレー、マティス、レンブラント、ルドン、ピカソなどです。
アレコホールとシャガールの「アレコ」背景画
美術館の中心には、縦・横21m、四層吹き抜けの「アレコホール」があり、マルク・シャガール(1887-1985)によるバレエ「アレコ」の背景画が通年で展示されています。
背景画は、シャガールが第二次世界大戦中に亡命していたアメリカで、「バレエ・シアター(現アメリカン・バレエ・シアター)」の依頼で制作したものです。1点の大きさは縦約9メートル、横約15メートルあります。
青森県は1994年に、全4作品から成る背景画のうち第1幕、第2幕、第4幕を収集しました。残る第3幕の背景画《ある夏の午後の麦畑》はアメリカのフィラデルフィア美術館の所蔵で、長期借用が認められ、コレクション展2026-3ではアレコホールに全4作品がそろっています。
全4作品がそろって展示されるのは、2006年の開館記念の「シャガール 『アレコ』とアメリカ亡命時代」展以来です。
アレコホールに入るには、コレクション展か企画展の入場チケットが必要です。
奈良美智の作品と《あおもり犬》《Miss Forest / 森の子》
奈良美智は1959年に弘前市に生まれた美術家です。青森県立美術館は1998年から奈良美智作品の収蔵を始め、その数は170点を超えます。
コレクション展では展示替を行いつつ、常時奈良の作品を展示しています。美術館のページでは、《続いてゆく道に》(1990年)や《Mumps》(1996年)などの作品を紹介しています。
《あおもり犬》は、美術館の西側に位置する屋外空間に設置された高さ約8.5メートル、横幅約6.7メートルの立体作品です。通年、常設展示室内からガラス越しに見られます。
屋外の「あおもり犬連絡通路」を通ると、《あおもり犬》を間近で見られます。雪が降り始めるころに閉鎖し、開通時間は美術館の時間・料金・行き方の案内で紹介しています。
美術館南側の敷地には、奈良自身のデザインに基づく八角形の煉瓦の建造物「八角堂」があり、その中に高さ約6メートルのブロンズ像《Miss Forest / 森の子》があります。
2026年10月20日の閲覧時点では、八角堂内のエレベーターの故障のため、車椅子とベビーカーの利用者は《Miss Forest / 森の子》を観覧できないと案内されています。出かける前に公式サイトで確かめてください。
青森県内ではほかに、十和田市現代美術館の外壁の《夜露死苦ガール》、弘前れんが倉庫美術館の《A to Zメモリアル・ドッグ》でも奈良美智の作品を見られます。
棟方志功の板画と倭画
棟方志功(1903-1975)は1903年に青森市で生まれ、1956年に「第28回ヴェネツィア・ビエンナーレ」で国際版画大賞を受賞し、1970年に文化勲章を受章しました。
棟方は1942年より自らの木版画を「板画」と呼びました。即興的な日本画は「倭画」と名づけています。
美術館のページでは、《八甲田山麓図》(1924年)、《勝鬘譜善知鳥版画曼荼羅》(1938年)、《花矢の柵》(1961年)を紹介しています。《勝鬘譜善知鳥版画曼荼羅》は「第2回新文展」で特選を得た作品で、官展で版画が受賞した初めての例です。《花矢の柵》は青森県庁新庁舎の落成を記念した幅7mの作品です。
青森市の棟方志功記念館は2024年3月31日に閉館し、全作品・資料を青森県立美術館に移しました。美術館では、2倍以上に拡張した棟方志功展示スペースで作品を紹介しています。
成田亨の怪獣と宇宙人のデザイン
成田亨(1929-2002)は、『ウルトラQ』『ウルトラマン』『ウルトラセブン』という初期ウルトラシリーズのヒーロー、怪獣、宇宙人、メカをデザインした彫刻家兼特撮美術監督です。1929年に神戸市に生まれ、その年末に青森市へ移りました。
武蔵野美術学校では油彩画を専攻したのち、3年次に彫刻科へ転科しています。「私は彫刻家ですから、形を基礎に怪獣を考えました」という本人の言葉が美術館のページで紹介されています。
美術館のページでは、《ウルトラセブン決定稿B案》(1967年)、《チブル星人》(1967年)、《カネゴン決定稿》(1965年)といった、ペンと水彩で紙に描いたデザイン画を紹介しています。
建物と展示室の構成
美術館は2006年7月13日に開館しました。建物は青木淳の設計で、隣接する三内丸山遺跡の発掘現場から着想を得ており、地面が幾何学的に切り込まれた上に、白く塗装された煉瓦の量塊が覆いかぶさる構成です。
展示室には、真っ白な「ホワイトキューブ」の展示室と、土の床や壁が露出する「土」の展示室があります。
地下1階には展示室HからQまでの10の展示室と棟方志功展示室、地下2階には展示室AからGまでの7つの展示室とアレコホールがあります。地下2階のエレベータホールから、《あおもり犬》に近づく屋外の通路へ出られます(冬季は閉鎖)。
2026年秋から冬の展示
2026年10月10日(土)~12月23日(水)は「コレクション展2026-3 特集展示:ウェルカム・バック、ナンシー関!」が開かれており、会場は地下1階と地下2階の展示室です。展示室ごとの内容は次のとおりです。
| 展示室 | 内容 |
|---|---|
| 展示室N・棟方志功展示室 | 印に想いを乗せて |
| 展示室O・P・Q・M・L | 特集展示:ウェルカム・バック、ナンシー関! |
| 展示室J | 版画誌を傍らに −松下千春と仲間たちの青春 |
| 展示室I | 孤独な浮力 橋本尚恣(青森県立美術館サポートシップ倶楽部 共催展) |
| 展示室H | 彼方からの肖像 -成田亨 |
| 展示室F・G | 奈良美智: 北の旅から |
| アレコホール | マルク・シャガールによるバレエ「アレコ」の舞台背景画(通年展示) |
ナンシー関(本名:関 直美)は1962年に青森市で生まれた消しゴム版画家・コラムニストで、生涯に制作した消しゴム版画は現存するもので5000点を超えます。特集展示では、生前に制作した消しゴムハンコや関連資料を展示しています。
美術館でナンシー関の作品が展示されるのは、2011年の企画展〈芸術の青森〉以来初めてです。
棟方志功展示室の「印に想いを乗せて」は、ナンシー関の特集に関連して「印」の観点で棟方志功の作品を見る展示です。一般財団法人棟方志功記念館の企画・展示構成で、棟方の板画、倭画、書の中から、印そのものや捺し方に特徴があるものを選んで展示しています。
展示室Hでは、成田亨の《セミ人間》(1965年)などの宇宙人のデザインを、ナンシー関の版画と並べて紹介しています。展示室F・Gでは、奈良美智が2014年にサハリンを旅して生まれた写真シリーズ「SAKHALIN」と、2017年の北海道白老町・飛生での滞在制作の作品を紹介しています。
展示作品リスト(リーフレット)は、コレクション展2026-3の公式ページの文末からダウンロードできます。
2026年10月31日(土)~2027年3月14日(日)は、企画展「青森県立美術館開館20周年 / 東日本大震災15年『志賀理江子 なぬもかぬも』展」が予定されています。宮城県在住のアーティスト・志賀理江子の個展です。
「ナイトミュージアム2026」の日は17:00~20:00(最終入館19:30まで)にも開館し、アレコホールの無料開放と、《あおもり犬》《Miss Forest / 森の子》のライトアップがあります。《あおもり犬》は展示室内から見るため、コレクション展の観覧料がかかります。2026年10月20日時点で残りは11月14日、12月19日、2027年1月16日、3月20日(いずれも土曜)です。
展示室で気をつけること
展示室内での撮影は、「撮影可能」の表示がある場合をのぞき遠慮するよう案内されています。
展示室内では鉛筆以外の筆記具は使えません。そのほかの館内の注意事項は、利用案内の記事と公式サイトで確かめてください。
2027年秋からの長期休館
2027年9月27日(月)~2028年4月14日(金)は、照明設備などの改修工事のため全館休館し、展示室の照明はLED化されます。
出かける前に
休館日は公式サイトのスケジュールカレンダーで案内されているので、出かける前に確かめてください。チケットの買い方や駐車場、館内のカフェは美術館の時間・料金・行き方の案内、隣の三内丸山遺跡は縄文の集落跡の見学案内、遺跡とあわせた回り方は縄文とアートを続けて回る順番で紹介しています。
収蔵作家ごとのプロフィールと作品は、美術館のコレクション鑑賞のページで読めます。
※この記事は、青森県立美術館の公式サイト(美術館について、コレクション鑑賞、利用案内、コレクション展2026-3と各展覧会のページ、長期休館のお知らせ)と、棟方志功記念館の公式サイトをもとに、2026年10月20日に確かめた内容で書いています。展示内容や会期は変わることがあるので、出かける前に公式サイトで確かめてください。



