青森の郷土料理は、津軽地方・南部地方・下北地方など、地域ごとに伝わる料理が違います。

この記事では、農林水産省と青森県の資料で確かめた主な郷土料理の伝わる地域と材料、食べる時期、提供店の探し方をまとめます。

この記事で使った情報

料理の伝わる地域・材料・由来は、農林水産省「うちの郷土料理」の青森県のページと、青森県「青森のうまいものたち」の郷土料理のページで確かめました。

提供店の探し方は、青森県の観光サイト「Amazing AOMORI」の特集「青森のあったかグルメ5選」(2025年11月公開)と、農林水産省「うちの郷土料理」の紹介をもとにしています。

料金と、店ごとの営業時間は書いていません。

農林水産省「うちの郷土料理」に載っている青森県の料理

農林水産省「うちの郷土料理」の青森県の一覧には、けいらん、けの汁、せんべい汁、貝焼き味噌、鱈のじゃっぱ汁、べこもち、豆しとぎ、いちご煮、きんかもち、たらの子和え、なすの赤しそ巻き、煮あえっこ、ねりこみ、ひっつみ、干し餅、ミズとホヤの水物、鮭の飯ずし、イカメンチ、いなりずし、かっけ、がっぱらもち、ごまご飯、じゅね餅、しょうが味噌おでん、すしこ、赤かぶの千枚漬け、キャベツとマスの漬物、鮫のすくめ、くじら汁が載っています。

このうち、この記事で紹介する料理の伝わる地域は次のとおりです。

料理主な伝承地域どんな料理か
けの汁津軽地方根菜や山菜を細かく刻み、焼き干しと焼き昆布を入れて煮上げる汁
ねりこみ津軽地方野菜の煮物に葛を加え、砂糖で甘く仕立てる
すしこ津軽地方(主に日本海側の西北地域)蒸したもち米を赤しそやキャベツ、きゅうりの古漬けと合わせて乳酸発酵させる
ミズとホヤの水物津軽地方夏に旬を味わう家庭料理
せんべい汁八戸市鶏だし醤油味の鍋に南部せんべいを割り入れて煮込む
ひっつみ南部地方こねた小麦粉を小さくちぎって鍋に入れる
かっけ南部地方そば粉の生地を三角形に切ってゆで、にんにく味噌をつける
くじら汁下北半島と八戸市クジラの白身の塩漬けと根菜、じゃがいもの汁
しょうが味噌おでん青森市おでんをしょうが入りの味噌だれで食べる

いちご煮・貝焼き味噌・じゃっぱ汁・いがめんちの材料と作り方は、魚介を使った郷土料理でまとめています。

津軽地方の郷土料理

けの汁

けの汁は津軽地方の郷土料理で、大根・人参・ごぼう・わらび・ふき・油揚げ・凍み豆腐・大豆・昆布・味噌を使います。

農林水産省の紹介では、もともとは小正月の料理で、小正月に一年の無病息災を願っていただく精進料理として「津軽の七草がゆ」とも呼ばれます。

名前の由来には、津軽の方言で「粥(かゆ)」を「け」と呼ぶことから「かゆの汁」とされるなど、諸説あります。

根菜や山菜、きのこを細かいさいの目に刻み、大鍋にイワシの焼き干しと焼き昆布を入れて煮上げ、大豆をすりつぶした「ずんだ」が入るのも特徴です。

温めなおすほど具材のエキスがしみこむので、大鍋から小鍋に分けて温め、数日かけて食べるのがならわしとされています。

近年は刻んだけの汁用の具材のパックがスーパーマーケットなどで売られ、弘前商工会議所料飲観光部会が2003年(平成15年)に「津軽けの汁保存会」を発足させました。

ねりこみ

ねりこみは津軽地方の郷土料理で、さつまいも・干ししいたけ・人参・こんにゃく・金時豆・油揚げを使います。

野菜の煮物に葛を加え、練りこむようにしてつくることからこの名がつき、砂糖をたくさん使って甘く仕立てます。

弘前地方では慶弔のときに食べる習わしがあり、「津軽料理遺産認定・普及委員会」が2008年に「津軽料理遺産」に選びました。

すしこ

すしこは津軽地方、主に日本海側の西北地域に伝わる郷土料理で、「赤めし」とも呼ばれます。

もち米を蒸し、赤しそやキャベツ、きゅうりの古漬けなどと合わせて乳酸発酵させたものです。

もともとは冬の保存食で、今はスーパーマーケットや道の駅などで惣菜として売られています。

ミズとホヤの水物

農林水産省「うちの郷土料理」の「ミズとホヤの水物」は津軽地方の郷土料理で「ホヤミズ」とも呼ばれ、津軽地方の短い夏に旬を味わう料理として紹介されています。

同じページでは、居酒屋や小料理店でも夏の定番メニューになっているとしています。

南部地方の郷土料理

せんべい汁

せんべい汁は八戸市の郷土料理で、鶏だし醤油味の鍋に野菜や糸こんにゃくなどを入れ、南部せんべいを割り入れて煮込むのが最も一般的です。

南部せんべいは小麦粉に塩と水を混ぜて鉄製の型で丸く焼いたもので、戦後、製造業者が汁を吸っても煮崩れせずモチモチした食感のせんべいを開発し、汁用として売りはじめました。

農林水産省の紹介では、八戸市内では約200軒の飲食店がせんべい汁を提供しています。

八戸せんべい汁は、2012年(平成24年)のB-1グランプリ第7回北九州大会でゴールドグランプリを受賞し、2023年(令和5年)3月に文化庁の「令和4年度100年フード」の伝統部門に認定されました。

だしや味のつけ方の違いはせんべい汁のだしと味の違いで紹介しています。

ひっつみ

ひっつみは南部地方の郷土料理で、小麦粉・鶏肉・人参・ごぼう・ねぎを使います。

こねた小麦粉をつかんで引っ張り、小さくちぎって鍋に入れることから「ひっつみ」と呼ばれるようになったといわれます。

具や出汁は地域や季節、家庭ごとに違い、沿岸部ではカニや魚介、山間部では鶏肉を多く使います。

農林水産省の紹介では、八戸市では今も一般家庭で日常的に食べられているとしています。

かっけ

かっけは南部地方の郷土料理で、そば粉に少しの塩を入れて水でこねた生地を薄くのばし、三角形に切ってゆで、にんにく味噌をつけて食べます。

「かっけ」はこの地方の言葉で「かけら」「端っこ」を意味し、三戸町・田子町・南部町あたりでは「つつけ」、小麦粉でつくるものは「むぎかっけ」と呼びます。

下北半島と八戸市のくじら汁

くじら汁は下北半島と八戸市に伝わる郷土料理で、かつて八戸市に捕鯨基地があったことから、近隣でクジラの食文化が発達しました。

背の本皮部分の「白身」の塩漬けを湯通しやから炒りで脂を落とし、大根・人参・ごぼうなどの根菜にじゃがいもを入れて作ります。

年取りや正月の祝い料理で、正月以外は家庭でつくることが減り、郷土料理店や八戸市の朝市などで提供されています。

青森市のしょうが味噌おでん

農林水産省の紹介では、青森市周辺では、おでんをすりおろしたしょうが入りの味噌だれで食べるのが普通です。

戦後の闇市の屋台で、真冬に青函連絡船に乗る客の体を温めようと、屋台のおかみさんがおでんにしょうが入り味噌をかけて出したのがはじまりといわれます。

具には陸奥湾名産のツブ貝、根曲がりだけ、薄くて大きなさつま揚げ「大角天」、大ぶりな「ぼたん焼きちくわ」などが入ります。

寒冷地のため年中提供されることが多く、真夏は冷やしおでんを出す店もあります。

2005年(平成17年)に地元企業を中心に「青森おでんの会」が発足し、食べられる店のマップやレシピを発信しています。

そのほかの郷土料理

県の郷土料理のページでは、青森で「タケノコご飯」といえば根曲がり竹を使ったものが一般的とし、もち米とうるち米に根曲がり竹・干ししいたけ・にんじん・油揚げ・ごぼうを炊き込みます。

古くから馬の産地である西北地域には、塩抜きした高菜と馬肉・角こんにゃく・高野豆腐を味噌仕立てで煮る「馬肉と高菜の炒め煮」が伝わります。

行事や季節と郷土料理

資料に食べる時期や行事が書かれている料理をまとめると、次のとおりです。

時期・行事料理資料にある説明
小正月けの汁一年の無病息災を願っていただく精進料理
年取り・正月くじら汁祝い料理
慶弔のときねりこみ弘前地方の習わし
寒い時期せんべい汁家庭で寒い時期に食べる
冬すしこもともとは冬の保存食
夏ミズとホヤの水物津軽地方の短い夏に旬を味わう料理
7月いちご煮階上町で「はしかみいちご煮まつり」が開かれる

郷土料理を食べられる店の探し方

Amazing AOMORI の特集「青森のあったかグルメ5選」では、提供店を次のように案内しています。

  • せんべい汁:八戸せんべい汁研究所のサイトに食べられる店の一覧がある
  • けの汁:弘前商工会議所 料飲観光部会(0172-33-4111)が店を案内している
  • しょうが味噌おでん:青森おでんの会が提供店のガイドマップを作っている

農林水産省の紹介では、くじら汁は郷土料理店や八戸市の朝市などで、すしこはスーパーマーケットや道の駅などで惣菜として手に入ります。

営業日やその日の品書きは変わることがあるので、出かける前に店に確かめてください。

十和田バラ焼きや黒石つゆやきそばなどのご当地グルメはソウルフードと呼ばれる料理の由来、肉を使った料理は青森の肉料理で紹介しています。

※料理の伝承地域・材料・由来は農林水産省「うちの郷土料理」の青森県のページ、八戸せんべい汁の受賞と認定、根曲がり竹ご飯、馬肉と高菜の炒め煮は青森県「青森のうまいものたち」、提供店の探し方は Amazing AOMORI の特集「青森のあったかグルメ5選」(2025年11月公開)をもとに、2026年10月時点でまとめています。営業日や提供内容は変わることがあるので、出かける前にご確認ください。