青森の寿司を、津軽地方で食べられてきた郷土の寿司と、寿司のネタになる青森県の海の幸の2つに分けて紹介します。
郷土の寿司は農林水産省「うちの郷土料理」、海の幸は青森県と水産庁の資料で確かめてまとめます。
寿司を食べられる店の場所や営業時間は、別の記事にまとめています。価格は変わるので、この記事では書いていません。
青森県の郷土の寿司
農林水産省「うちの郷土料理」には、青森県の寿司の郷土料理として、すしこ・いなりずし・鮭の飯ずしが載っていて、3つとも主な伝承地域は津軽地方です。
同じサイトの青森県の紹介では、青森県の食文化は津軽地方の「米文化」、南部地方の「粉文化」、下北地方の「いも文化」の3つに分けられるという、柴田学園大学短期大学部の北山育子氏の話を載せています。
| 料理 | 主な使用食材 | 特徴 |
|---|---|---|
| すしこ | もち米、きゅうり、しその葉、紫キャベツ、酢 | もち米を赤しそやキャベツ、きゅうりの古漬けなどと合わせて乳酸発酵させた「ごはんの漬物」 |
| いなりずし | もち米、紅しょうが、いなり揚げ | 刻んだ紅しょうがを混ぜたピンク色の甘い酢飯を詰める |
| 鮭の飯ずし | 塩サケ、たけのこ、もち米 | 塩サケ・根曲がりだけ・もち米を重ね、重石をかけて数日かけて馴れさせる |
すしこ
すしこは、津軽地方の中でも主に日本海側の西北地域で食べられてきた郷土料理です。
もち米を蒸し、赤しそやキャベツ、きゅうりの古漬けなどと合わせて乳酸発酵させたもので、農林水産省のページは「ごはんの漬物」ともいうべき料理と紹介しています。
「赤めし」とも呼ばれ、もともとは冬の保存食で、ごはんのおかずにしました。
今はスーパーマーケットや道の駅などで惣菜として売られています。
同じページでは、魚などに塩をまぶし、ごはんや麹と漬けこんで乳酸発酵させる郷土料理を「飯ずし」とよぶと書いています。
いなりずし
津軽地方の「いなりずし」は、刻んだ紅しょうがを混ぜたピンク色の酢飯を使います。
ごはんはもち米で(うるち米を混ぜることもある)、ざらめをたっぷり使うので甘い味付けです。
冠婚葬祭などのおもてなしや、運動会・花見などのお弁当に入り、スーパーマーケットの惣菜コーナーや道の駅などで手に入ります。
鮭の飯ずし
鮭の飯ずし(さけのいいずし/さけのいずし)は、酢締めにした塩サケ、根曲がりだけ、柔らかめに炊いたもち米を交互に重ね、笹の葉で覆って重石をかけ、数日かけて馴れさせる料理です。
もともと飯ずしは酢を使わず、麹ともち米で発酵させていましたが、近年は発酵を早める酢を使うことが主流になっています。
年越し・正月料理や大人数をもてなすときは根曲がりだけも一緒に漬け、紅サケの紅色と、根曲がりだけやごはんの白色で紅白を表します。
サメやホッケで作ることもありますが、家庭で作ることは減ってきています。
家で作るときのレシピ
3つの料理とも、農林水産省「うちの郷土料理」のページに材料と作り方が載っています。
- すしこ(農林水産省「うちの郷土料理」):レシピの参照元は青森県の「食の文化伝承ガイドブック」
- いなりずし(農林水産省「うちの郷土料理」):レシピの提供元は柴田学園大学短期大学部の北山育子氏
- 鮭の飯ずし(農林水産省「うちの郷土料理」):レシピの参照元は青森県の「食の文化伝承ガイドブック」
寿司のネタになる青森の海の幸
青森県の資料は、寒流と暖流が混じり合う太平洋、暖流の影響を強く受ける日本海、津軽海峡、大型の内湾である陸奥湾を「4つの海」とし、それぞれが良い漁場になっていると書いています。
農林水産省「うちの郷土料理」の青森県の紹介は、太平洋・日本海・津軽海峡の「3つの海」に三方を囲まれ、中央部に陸奥湾を抱えると書いていて、資料によって数え方が違います。
令和6年の青森県の海面漁業・養殖業の生産量は、漁業が5万7,000トン、養殖業が3万4,000トンで、魚種別では養殖などによるホタテガイが最も多く、次いでイワシ類です。
全国の順位が高い魚介
青森県の資料にある水産業の全国ランキング(令和6年、海面)では、次の魚介が上位に入っています。
| 順位 | 魚介 |
|---|---|
| 第1位 | スルメイカの漁獲量、アカイカの漁獲量 |
| 第2位 | ホタテガイの生産量、マダラの漁獲量、クロマグロの漁獲量、ヒラメの漁獲量、ナマコ類の漁獲量、ホッケの漁獲量 |
陸奥湾のホタテ
青森県の資料によると、青森ほたては下北半島と津軽半島に囲まれた陸奥湾で育ち、成貝と、小ぶりな半成貝(ベビーホタテ)として出荷されています。
農林水産省「うちの郷土料理」の青森県の紹介では、陸奥湾には古くからホタテが生息し、昭和30年代に養殖が成功してから「陸奥湾ホタテ」が湾岸地域の名物になったと書いています。
大間まぐろ
「大間まぐろ」は、大間地区の主産物であるクロマグロの地域団体商標です。
水産庁の資料に載る大間地区の計画では、大間地区の漁獲高の約70%をクロマグロが占め、一本釣漁業の船が35隻(令和6年4月1日現在)あります。
ヒラメとマダラ
青森県はヒラメを「県の魚」としています。
津軽地方では正月に真鱈を食べる習わしがあり、農林水産省「うちの郷土料理」の青森県の紹介は「鱈正月」と書いています。
店で食べられるネタの例
次の3つの例のうち、ネタの産地が書かれているのは回転鮨処あすかの品だけで、八食市場寿司と古川市場の例の出典には産地が書かれていません。
青森市の回転鮨処あすか 青森西バイパス店の公式サイトは、店長おすすめに鰺ヶ沢産のやりいか、八戸産の自家製〆さば(前沖銀さば)、平館産の天然真鯛、青森県産のひらめ昆布〆としいたけ天ぷら握りなどを挙げています。
八戸市の八食センターの「飲食のいちおしガイド」は、八食市場寿司のいちおしに、本マグロの赤身・中トロ・大トロ・ネギトロ・鉄火・切り落としが1皿になった「マグロづくしセット」を挙げています。
青森駅の近くの青森魚菜センター(古川市場)では、食事券で丼ご飯と約30店舗の刺身や惣菜などの具材に引き換えて、自分で「のっけ丼」を作れます。
青森で寿司を食べるには
青森駅の近くの寿司店や古川市場、八食センターの寿司店は青森駅の近くや八戸で寿司を食べられる店に、回転寿司の席や予約、持ち帰りは青森市と八戸の回転寿司の店にまとめています。
魚介ごとの旬や産地は青森でとれる魚介と旬に、魚介を使った郷土料理は魚介を使った青森の郷土料理にまとめています。
この記事で取り上げなかったこと
旧版は「青森寿司」を一つの料理のように扱い、軍艦巻き・握り・刺身寿司・海鮮丼スタイルを代表的な種類としていましたが、青森に限った分類の出典がないので、郷土の寿司と海の幸に分けて書き直しました。
旧版にあった「酢飯の酸味も控えめ」「冷たい海風が吹く地域特有の環境が、魚介類の身を引き締め」といった味の断定や、値段の相場、鮮度の見分け方、家庭で作る一般的な手順、今後の展望は、一次情報で確かめられなかったので書いていません。
※郷土の寿司は農林水産省「うちの郷土料理」の各料理と青森県のページ、海の幸は青森県の水産業の資料(令和6年の数値)と水産庁の浜の活力再生プラン(大間地区)、店のネタは回転鮨処あすか 青森西バイパス店の公式サイトと八食センターの公式サイトの「飲食のいちおしガイド」(2025年1月の資料)、古川市場はAmazing AOMORI(青森県観光情報サイト)をもとに、2026年10月時点でまとめています。メニューや取り扱いは変わることがあるので、店で確かめてください。



