青森で神社をめぐると、朱色の鳥居が続く場所や、鳥居に小さな鬼の像がのっている神社に出会います。この記事では、神社本庁の説明による鳥居の意味と型、参道の歩き方、津軽地方の「鳥居の鬼コ」、県内で鳥居が目を引く神社を、公的な資料と神社の案内で確かめてまとめました。
鳥居とは何か:神社本庁の説明
神社の内と外を分ける境
神社本庁の説明では、鳥居は神社の内と外を分ける境に立てられ、鳥居の内は神さまが鎮まる神域とされています。
本殿を持たず、山などの自然物を御神体や神が寄り付く依代として祀る神社の中には、その前に鳥居を立て、神さまの存在を表すものとして重視しているところもあります。
鳥居の起源には、天照大御神が天の岩屋に隠れた際に八百万の神々が鶏を鳴かせ、そのとき鶏が止まった木を起源とする説や、外国から伝わったとする説などがあります。
神明鳥居・明神鳥居など鳥居の型
鳥居の材質や構造は神社によってさまざまで、一説には60数種類の形態があるともいわれます。神社本庁が代表的なものや特徴的なものとして挙げている型は次のとおりです。
| 鳥居の型 | 形の特徴(神社本庁の説明) |
|---|---|
| 神明鳥居 | 上部の横柱が一直線になっている |
| 明神鳥居 | 上部の横柱の両端が上向きに反っている |
| 山王鳥居 | 明神鳥居の横柱の上部に合掌形の破風がついている |
| 稲荷鳥居 | 朱塗り |
鳥居をくぐってからの参道の歩き方
神社本庁は、参道を境内の鳥居から社殿へ向かうまでの道と説明しています。
参道の中央は「正中」と呼ばれ、中央を避けて歩く作法は、神職が祭祀で用いる正中作法にならった敬意の表し方として知られています。中央を横切るときは、軽く頭を下げて通ったり、中央で神前に向き直って1礼してから横切ったりする表し方もあります。
ただし、参道の歩き方に厳格なきまりはなく、神社本庁は、作法を意識するあまり各神社のルールから外れたり、ほかの参詣者とぶつかったりしないよう呼びかけています。
手水と拝礼の手順は、つがる市の稲荷神社が案内する参拝の作法で紹介しています。
津軽の「鳥居の鬼コ」
鳥居の額束にいる鬼の像
青森県中南地域連携事務所は、古くから津軽地域で天災や疫病を払う存在であった「鬼コ」が、さまざまな神社の鳥居にあげられ、「鳥居の鬼コ」として親しまれてきたと紹介しています。
同事務所のページに載っている「古津軽の鬼コタクシー」のチラシでは、鳥居の鬼コは津軽独特のもので全国的にも珍しく、津軽一円に約40体、中南地域に約9体が確認されているとしています。
青森県立郷土館の研究紀要(第50号、2026年3月)の論文は、鳥居の鬼コを、主に岩木川沿いにある集落の神社で、鳥居の額束などに貼り付けられている鬼の像と説明し、約40体以上の事例が確認されていると書いています。
東北観光推進機構は、岩木山の裾野の一部の鳥居に小さな鬼コが座っていて、グリーンや水色の鬼コなど一体ごとに個性があると紹介しています。
鬼コの由来についての見方
同じ論文によると、鳥居の鬼コの多くは、製作者や製作目的、制作年代がまだ明らかになっていません。
弘前市撫牛子の撫牛子八幡宮の鬼コは、言い伝えでは、最初は甲冑師・高山玄南の作った木彫でしたが、明治26年(1893年)の大火で焼け、大正8年(1919年)に石工の櫻庭音吉が鳥居とともに作り直したものが今の鬼コだといいます。
論文は、鳥居の鬼コを、集落を魔や悪疫から守る習俗のひとつと考えるのが妥当だとしています。
由来については、鳥居の額束の別名「鬼板」が鬼の像に変わったのではないかという大湯卓二の推測や、調べた鬼コの過半数は由来が近代に成立した伝承だとする福士壽一の見方、明治期以降に岩木川流域で急に広まった可能性があるという入江英弥の指摘を紹介しています。
鬼コがいる神社と鬼コカード
青森県の「津軽の鳥居の鬼コカード」のページ(2025年4月1日更新)には、カードの番号ごとに次の15社が載っています。
| カードの番号 | 場所 | 神社 |
|---|---|---|
| No.1 | 弘前市石川 | 八幡宮 |
| No.2 | 弘前市種市 | 熊野宮 |
| No.3 | 弘前市富栄 | 神明宮 |
| No.4 | 弘前市鳥井野 | 白山姫神社 |
| No.5 | 弘前市撫牛子 | 八幡宮 |
| No.6 | 弘前市中崎 | 月夜見神社 |
| No.7 | 弘前市三和 | 日吉神社 |
| No.8 | 平川市柏木町 | 八幡宮 |
| No.9 | 平川市日沼高田 | 三社神社 |
| No.10 | 板柳町掛落林 | 稲荷神社 |
| No.11 | 板柳町五林平 | 八幡宮 |
| No.12 | 板柳町常海橋 | 八幡宮 |
| No.13 | 板柳町夕顔関 | 八坂神社 |
| No.14 | 鶴田町沖 | 闇龗神社 |
| No.15 | 鶴田町胡桃舘 | 八幡宮 |
カードは神社には置いておらず、鬼コのいる神社の周辺の店などで配っています。数量限定で無くなり次第終わり、No.16〜30のカードは令和7年3月21日で配布を終えているので、配布の状況は青森県中南地域連携事務所のページで確かめてください。
東北観光推進機構は、撫牛子八幡宮はJR撫牛子駅から徒歩4分、白山姫神社は弘南バス「鳥井野」から徒歩約5分、月夜見神社は弘南バス「中崎」から徒歩約1分、三社神社は弘南バス「日沼西口」から徒歩1分と案内しています。鳥居の鬼コは自由に見ることができます。
弘前市鬼沢地区には、鬼を神様として祀る「鬼神社」と、鬼が相撲をとったと言われる「鬼の土俵」があり、節分には豆まきをしません。鬼神社へは、JR弘前駅から弘南バスで約40分のバス停「鬼沢」から徒歩5分です。
青森県内で鳥居が目を引く神社
高山稲荷神社(つがる市)の千本鳥居
高山稲荷神社の千本鳥居は、高さ約2メートルの朱色の鳥居が延々と並ぶ場所で、鳥居の数は神社が「秘密」としています。
神社の境内案内図には、千本鳥居のほかに大鳥居も載っています。
境内の様子と行き方は千本鳥居の見どころと行き方で紹介しています。
廣田神社(青森市)の大鳥居と金魚ねぶた
廣田神社では、大鳥居に130個の金魚ねぶたを連ねる金魚ねぶた献灯祭があり、令和8年は7月25日(土)〜8月7日(金)の毎夜17時〜21時にライトアップしました。神社の案内によると、金魚ねぶたの献灯は令和元年にクラウドファンディングで募って始まり、その後も毎年献灯を受けています。
令和8年9月下旬〜12月下旬(予定)は境内の環境整備工事で、境内の一部の通行が制限される場合がありますが、工事中も通常どおり参拝できます。工事の進み具合や雪で期間が延びる場合があります。
廣田神社については青森市の廣田神社の紹介にあります。
蕪嶋神社(八戸市)の赤い鳥居とウミネコ
VISITはちのへは、5月中旬には蕪島に菜の花が咲き、蕪嶋神社の鳥居の赤とウミネコの白が見られると紹介しています。ウミネコは毎年3月上旬頃に蕪島に飛来し、8月頃に旅立ちます。
蕪嶋神社については八戸の蕪嶋神社とウミネコで紹介しています。青森市安方の善知鳥神社は善知鳥神社の御由緒と年間行事にまとめています。
まとめ
- 神社本庁の説明では、鳥居は神社の内と外を分ける境に立てられ、鳥居の内は神さまが鎮まる神域とされています。
- 代表的な鳥居の型は、横柱が一直線の神明鳥居と、横柱の両端が上向きに反った明神鳥居です。
- 津軽地方の神社には鳥居の額束などに鬼の像がのる「鳥居の鬼コ」があり、青森県立郷土館の研究紀要の論文では約40体以上の事例が確認されています。
- 県の鬼コカードのページには、弘前市・平川市・板柳町・鶴田町の15社が載っています。
- 高山稲荷神社の千本鳥居、廣田神社の大鳥居の金魚ねぶた、蕪嶋神社の赤い鳥居とウミネコも、鳥居が目を引く県内の神社です。
出典: 神社本庁「鳥居について」「参道について」、青森県中南地域連携事務所「津軽の鳥居の鬼コカード」(2025年4月1日更新)と「古津軽の鬼コタクシー」のチラシ、青森県立郷土館研究紀要 第50号(2026年3月)小山隆秀「青森県における鬼の伝承についての再考」、東北観光推進機構「古津軽・鬼伝説(鬼神社、鳥居の鬼コ)」「高山稲荷神社」、高山稲荷神社・廣田神社の公式サイト、VISITはちのへ「蕪島」。いずれも2026年10月20日に確認しました。カードの配布や行事の日時は変わることがあるので、出かける前に各ページで確かめてください。



